コールスローおばさん
最近、赤ちゃんを産んだばかりのホノカは、家事が終わると街へ買い物に繰り出した。
真冬といえどもぽかぽか陽気で、ホノカはニット帽をかぶって出てきたことを少し後悔した。
町へでると、昼食を食べてないことに気がつく。
「赤ちゃんも抱っこでぐっすり寝ていることだし今のうちに何か食べよう」
一番近いファーストフード店に入った。
オーダーを済ませ、席に着いてホッとしてからアイスティーを飲んだ。いい香り。
今日の夕飯は何にしようかしら、と頭の中でいろんな料理が並ぶ。
しばらくボォっとしていると、一人のおばさんが隣に座った。
おばさんは赤ちゃんを見ながら「何ヶ月?」と聞いてきた。手にはコールスローと水。
「3ヶ月です」
「抱き癖ついた?」
「そうですね、抱っこの方がよく寝ます」
「そう」
おばさんはコールスローを食べ始めた。
「かわいいでしょ」
「はい」
「抱き癖ついた?」
「はい、たぶん」
パクパクとコールスローを食べている。
「うちの娘に赤ちゃんできないのよ」
「そうなんですか」
「あれはもうできないわね」
「はぁ」
「抱き癖ついた?」
「…はい」
おばさんは唇にコールスローのキャベツをつけながらパクパクと食べている。
ホノカはそれが気になって、視線がついおばさんの唇にいってしまう。
「あなた東京の人ね?なまりがないもの」
「はい、でも両親は東北です」
「東北のどこ」
「宮城です」
「宮城のどこ」
「仙台です」
「仙台のどこ」
「気仙沼です」
まるでクイズを出されてる気分でホノカは少し焦った。
「気仙沼、じゃあおばさんのとこと近いわ」
「そうなんですか!」
「気仙沼は魚がおいしいわよ」
「そうみたいですね」
おばさんはまだ唇にキャベツを付けながらコールスローを食べている。
ホノカも思い出したようにポテトやスープを食べる。
「気仙沼は魚がおいしいわよ」
「え、あ、そうみたいですね」
「こっちの魚食べられなくなっちゃう」
コールスローはあと少しになった。
ホノカのポテトはたくさんあった。
沈黙がなぜか気まずい。
「気仙沼の魚はおいしいわよ」
「…」
魚が食べたくなってきた。
おばさんはコールスローを食べ終わり、容器にフタをして帰る準備をし始めた。
ホノカは少しだけホッとしアイスティーを飲むと、おばさんはまた口を開いた。
「あたし、ここのコールスロー大っ好きなのよぉ」
おばさんは初めてホノカに笑顔を見せた。いつの間にか唇のキャベツはなくなっていた。
コールスローが食べたくなってきた。
今日はいい日だ、とホノカは思った。
真冬といえどもぽかぽか陽気で、ホノカはニット帽をかぶって出てきたことを少し後悔した。
町へでると、昼食を食べてないことに気がつく。
「赤ちゃんも抱っこでぐっすり寝ていることだし今のうちに何か食べよう」
一番近いファーストフード店に入った。
オーダーを済ませ、席に着いてホッとしてからアイスティーを飲んだ。いい香り。
今日の夕飯は何にしようかしら、と頭の中でいろんな料理が並ぶ。
しばらくボォっとしていると、一人のおばさんが隣に座った。
おばさんは赤ちゃんを見ながら「何ヶ月?」と聞いてきた。手にはコールスローと水。
「3ヶ月です」
「抱き癖ついた?」
「そうですね、抱っこの方がよく寝ます」
「そう」
おばさんはコールスローを食べ始めた。
「かわいいでしょ」
「はい」
「抱き癖ついた?」
「はい、たぶん」
パクパクとコールスローを食べている。
「うちの娘に赤ちゃんできないのよ」
「そうなんですか」
「あれはもうできないわね」
「はぁ」
「抱き癖ついた?」
「…はい」
おばさんは唇にコールスローのキャベツをつけながらパクパクと食べている。
ホノカはそれが気になって、視線がついおばさんの唇にいってしまう。
「あなた東京の人ね?なまりがないもの」
「はい、でも両親は東北です」
「東北のどこ」
「宮城です」
「宮城のどこ」
「仙台です」
「仙台のどこ」
「気仙沼です」
まるでクイズを出されてる気分でホノカは少し焦った。
「気仙沼、じゃあおばさんのとこと近いわ」
「そうなんですか!」
「気仙沼は魚がおいしいわよ」
「そうみたいですね」
おばさんはまだ唇にキャベツを付けながらコールスローを食べている。
ホノカも思い出したようにポテトやスープを食べる。
「気仙沼は魚がおいしいわよ」
「え、あ、そうみたいですね」
「こっちの魚食べられなくなっちゃう」
コールスローはあと少しになった。
ホノカのポテトはたくさんあった。
沈黙がなぜか気まずい。
「気仙沼の魚はおいしいわよ」
「…」
魚が食べたくなってきた。
おばさんはコールスローを食べ終わり、容器にフタをして帰る準備をし始めた。
ホノカは少しだけホッとしアイスティーを飲むと、おばさんはまた口を開いた。
「あたし、ここのコールスロー大っ好きなのよぉ」
おばさんは初めてホノカに笑顔を見せた。いつの間にか唇のキャベツはなくなっていた。
コールスローが食べたくなってきた。
今日はいい日だ、とホノカは思った。
by naco-art
| 2009-01-06 15:34